【久柳side】

うっ…腹いってぇ…どんだけバカぢからしてんだよ…くそったれが…


「…い!ぉ…い!く…う!ぉきろ…!」

誰だよ…うるっせぇなぁ…こっちは腹痛くて死にそうなんだよ!

「起きろっつてんだろうがゴルァ!」

ドカッ

「いってぇぇぇぇぇぇぇぇっ!なんだよ、くそったれが!俺はあのクソアリス腹殴られて痛くて痛くてしょうがねぇんだよっ!もうちょっと寝かせろやアホ!」

と久柳は怒り口調で怒鳴った。

ああぁ…あいつの怒鳴り声は腹に響く…


「ちょっと起きなさいよ。即死呪文かけるわよ?」

「あっはっは~ごめんなさ~い」

ったく、梨音には頭上がんねぇな。と久柳は心の中で溜息をついた。

「アリスがいねぇんだけどさ、どこ行ったか知らねえか??」

俺が知るかよ…と思いながら久柳は今朝あったことを全て紅と梨音に打ち明けた。

「んで、俺はアリスに腹を思いっきり殴られ、気絶したってわけだ。

「あぁ、ほんっとあいつは、ばか力だからな。」

と久柳の気持ちを察するかのように言った。

「つか、まじ腹痛ぇ…」

「早く居場所を見つけましょ!それにアリスが居ないと物語進まないし、アリス一行じゃなくなっちゃうじゃない!」

と梨音は言った。

「ちょっと!ナレーターさん!アリスの居場所教えなさいよ!」

無理ですよ、梨音さん、私が存在して貴方達とこうやって会話していることは、世界の歪みなんです。

「というと?」

私は、一つの名画に入り込んだ余計な絵になってしまいます。それに、私がいなくて、誰がナレーター役をやるんですか?

「あ、…そっか」

と納得したように梨音は言った。