「そうだね。逃げてるね。だからと言って話すわけにはいかない。」

「ふぅん?じゃぁあんまりやりたくねぇんだけどな…無理やりにでも口を開かせる…!」

と言って、久柳は思い切りアリスの腹を殴ろうとしたが、殴る寸前で止めた。

「…殴らないの?」

アリスは言った。

「なぜ避けようとしない?」

「べつに…深い意味はないわ。」

とアリスは俯きながら言った。

「あっそうかよ。てめぇはずっとウジウジしてろよ」

と久柳は冷たく低い声で言った。

「そうね、それがお似合いなのかもね。」

と言うとアリスは顔を上げた。それは、とてもさみしそうな何ともいえない表情だった。

「じゃあね。さよなら」

と言うとアリスは立ち上がり、久柳の腹を殴り、久柳を気絶させた。

「…さようなら。」

ともう一度呟くと、宿の方に行き、荷物を取りに行き、アリスは一人、森の方へ消えた。