「じゃあ……ぼくの家族は、どうなの?」

 頭を弱しく垂れて、少年は苦しい表情を浮かべる。

「戦争で死ぬために生まれたの?」

「そのような死を否定するために、お前も目指そうとしたものがあったのだろう?」

 だから私は今、ここにいるのだ。

 全ての死がそうではないように、全ての死をそうさせたいという想いのために──どこを見るでも無いエメラルドの瞳は、何かを見据えるように強く輝いているように少年には見えた。

「でも……おじさん、は……死なないんだよね?」

 その言葉にクスッと笑う。

「そうだな。私の場合は己に出来る限界を続けていくしかない」

「それって凄く、しんどいよね」

「隠居生活なんてガラじゃない」

 肩をすくめた。