「後悔ばかりの記憶では寂しいだろう?」

「……うん」

「己の心を見つめることは時として恐怖だ。思い出したくない記憶は、引き出しにずっと仕舞われたまま時間を止めている」

 それが決して悪いとは言わない。

 だが、どれほど周囲が手を差し伸べても最後には己の心を動かすしかない。

 己の心に問いかけること、それはとても大切なものだ……宙を見つめているベリルは、ささやくように発する。

「悔いのない人生。それが人の目指すものなのかもしれない」

 そのために、人は今を精一杯生きるのだろうか。