トリガーブラッド~偉大な緑の協力者~

少年の知っているティーロの年齢はどう見ても40過ぎだった。

 そんな相手を年下扱いするなんて、そんなに凄い人なの? この人は、なんだかおかしなことばかりだ……さすがに少し怪しんだ。

 車はおもむろに狭い路地裏に止まり、エンジンを切った。

 賑やかな町とは言い難い一帯は、どの音も遠くに響いている。

 すでに昼をとうに過ぎ、薄暗い路地は肌寒さを感じた。

 ベリルは買ってきたランタンを灯し、少年に毛布を差し出す。

「夜は冷える」

「ありがと……」

 少年に笑みを返し、シートの背もたれを下げて頭の後ろで両腕を組んで目を閉じた。

「おじさん」

「なんだ」

「おじさんは、これで何かもらえるの?」

 もっともな質問である。

 誰が彼に報酬を払うのか……その相手がまったく見えない。なのに、自分を助けてくれている。