逃げ場がない事を確認したのか、セダンから降りてきたのは彼の予想通り暗いスーツ姿の男2人。

 その手には拳銃(ハンドガン)が握られていた。

 運転席に近づき銃口を突きつけてあごで示す。

「出ろ」

 表情も無く両手を軽く揚げて出てきた青年を、1人の男が壁に張り付けるように背中を押しつけた。

「その子をどうするつもりだ」

「黙ってろ」

 威圧的に発して青年の体を入念にチェックしていく。

「……」

 ベリルに銃口を向けている男は、青年から出てくる武器に目を丸くした。

 ヒップバックホルスターからハンドガンが2丁。

 ショルダーホルスターから1丁。

 そしてナイフが2本と15㎝ほどの針が数本……