トリガーブラッド~偉大な緑の協力者~

 しかし──FBIに保護されたあと、アザムはどうなる……? それを考えると足は自然と止まった。

 国に還されるのだろうか? そしたらあの子はどうなる。

「……っ」

 だからといって、自分に何が出来るというのだ……レイは奥歯を噛みしめながら再び足を進める。

 少年は今どこにいるのか、アザムとその周辺にいる人々の安全が最優先だ。

 10日は安心だとしても、やはり一刻も早く見つけ出して対処しなくてはならない。

 もし怪我をして、その血が誰かの体に付着したらと考えると青ざめる。

 今はその危険もあるのだったと今更に気付いた。

 どうかしていた、あの時は死ぬ人間の事などどうても良かった。

 しかし今は違う、激しい後悔がレイの胸を満たしていた。