一際(ひときわ)、大きな石──楕円形にドーム型のカボションカットが施されたオニキスだが、この大きさでも大した金額にはならない。

 なのに何故わざわざこれが……? じっくりと手に取り見つめる。

 すると──

「!? あっ」

 オニキスが2つに分かれて中から薄い紙切れが数枚ちらりと顔を出し、少年は思わず声を上げた。

「ふむ」

 ソレを手に取り、エメラルドの瞳を細める。

「これなに?」

 英語じゃない……

「ドイツ語だよ。かなり簡略化されているがね」

 薄い紙に小さくびっしりとつらなる文字は、丁寧にはっきりと書かれていた。