トリガーブラッド~偉大な緑の協力者~

「……」

 ボクのために悲しんでくれてるの? 少年はベリルの表情に少し瞳を曇らせた。しかしすぐ目を閉じて小さく首を振る。

 誰も信用出来るもんか……少年はキリと奥歯を噛みしめる。

 新しい父親──それに少しの希望が無かった訳じゃない。

 新天地で新しい生活、新しい親。もう、銃弾の飛び交う場所にいなくていいんだ……そう思っていたのに、結末はそれよりも酷かった。

 予防接種だと打たれた薬は人を殺す細菌で、ただそれを受け渡す道具でしかなかった。

「気分転換にドライヴしよう」と言われて、車内で飲まされたジュースには睡眠薬が入っていた。

「レイさんなんか……嫌いだ」

「! ……」

 噛みしめるようにつぶやいた少年を見下ろし、首にかかっているロケットにベリルは目を細めた。