しばらく車を走らせて小さなレストランに車を駐め、車から降りてきた少年の目にはうっすらと涙がにじんでいた。

 態度の悪そうなウエイトレスが入ってきたベリルを確認すると不機嫌そうな表情が一変、笑顔を見せた。

「好きなものを頼め」

 足を組みメニューを示すベリルを一瞥すると、少年は険しい表情でそれらを眺めウエイトレスに視線を移す。

「カルボナーラにシーフードドリア。シーフードピザにホッドドックそれに……」

「シーフードピザとコーラにコーヒーを頼む」

「……」

 あっさりと注文されてしまい、いやがらせは失敗した。

 運ばれてきたピザを食べないという嫌がらせも出来たが、空腹でそれは無理そうだ。