元々は英語圏の人間ではない事がその動きからも見て取れた。

 アザムを確保している男の目が、ベリルに銃を突きつけている男に合図する。

 男の拳銃(ハンドガン)の引鉄(ひきがね)が絞られていく──ベリルはすかさず右で銃を弾き、そのままの流れで足払いをかました。

「うっ!?」

 その勢いに乗って倒れ込んだ男の腹にエルボーをお見舞いする。

「ぐえっ!?」

 叫び声をあげてその痛みに悶絶している男を少年は呆然と見つめた。

「うっ……えっ?」

 驚いて銃口をベリルに向ける。

「!? ……く、くそっ」

「わっ!?」

 まるで、猫科の獣のような瞳と動きに思わず少年を突き放して男は逃げていった。