側にいてやること──ただそれだけが、不死である己に出来ることだ。

「……」

 アザムは、もうろうとする意識の中でベリルをじっと見つめていた。

「ど……して?」

「ん?」

「どうして……ぼくなんて、助けるの」

 彼にとっては自分など、どうでもいい人間なのに……本気で自分を助けようとしている。

 ベリルは、苦しみながら絞り出した少年の問いかけにその左手を握り、エメラルドを湛えた瞳で静かに応える。

「それが『人』というものだよ」

「人……」

 その言葉に何故か安心して深い眠りについた。