それから、少年に付きっきりで看病を続けた。

 少年は高い熱と吐き気にもうろうとする意識のなか時折、小さく呻き声を上げて何かを口走っている。

「……」

 その様子を見つめながらベリルは目を伏せた。自分の額に手の甲を当てると、熱っぽいのが解る。

 しかし、それ以上の症状はみられない。

 彼に感染したウイルス──体に侵入したものは何であろうと、いつかは彼自身のエネルギーに変換される。

 ベリルがそうしたのではない、そういう構造になってしまったのだ。

 そのため、彼には『共存菌』と呼べるものすら体内には存在しなくなっていた。

 彼と共には、なに一つ生きる事は叶わない……それを知ったとき、彼はただ笑っただけだった。

「結果を知った」それだけだ。

 知識の渦に飲み込まれるだけもの……そういう認識でしかない。