あとはアザムの体力とワクチンの効果に期待するしかない。

「……」

 悪化していく症状に苦い顔をした。

 苦しさに体を少し動かしたアザムから小さな金属音がして、そちらに視線を移すと少年の胸元からペンダントが覗いていた。

 少年は、楕円形の平たいペンダントトップを弱しく手に持つとそれを開く。

「ぼくの……家族」

 必死に笑ってベリルに示した。

「!」

 ふと、そこにあった小さな赤い石が彼の目に留まる。血のような赤……ガーネットだ。

 ベリルはそれに、黙って目を閉じたあと優しく微笑んだ。