トリガーブラッド~偉大な緑の協力者~

「アザム」

 そんな少年に、彼は少し険しい表情を見せる。

「ワクチンを打たれてはいるが、症状は出る可能性がある」

「え……」

「ワクチンは重症化を防ぐためのもので治療薬ではない。症状によっては……」

 言葉を切ったその表情で、何を言いたいのか解る。

「……うん」

 そう応えて目を伏せたそんな少年の頭を、ベリルは優しく撫でた。