俺の大事な紗絵に何言ってくれてんだ。
俺の大切で大切で仕方ない紗絵の心に、勝手に矢を放たないでくれ。
この親父さんだけでも、憤激ものなのに紗絵の母親はさらに続ける。
「あんた、結婚するなら今までの養育費払いなさいね?高校入学までの養育費、仕方なく払ってあげてたんだから」
血管が、切れるかと思った。
ああ
こんなことならもっと早く、紗絵のことをさらいにくれば良かった。
「紗絵、いくぞ」
紗絵の腕を引っ張って沙絵の家をでた。
紗絵を車に押し込めてエンジンをかける。
「こ、コウくん!?どうしたの・・・。ごめんね、やっぱりイヤな思いしちゃったよね?」
「ちがう、俺のことなんかどうだっていい。ちょっと待ってて」
目的地についてさっさと用を済ませ、また紗絵の家に戻った。
「コウくん・・・?」
心配そうな紗絵の顔。


