side.コウ



もう6年以上も前のこと。


紗絵が高校を卒業したとき、紗絵の両親に結婚の挨拶に行ったんだ。


元々親と不仲だった紗絵は高校入学と同時に家を出て、一人暮らしをしていて。


ほとんど親とは接点ないから挨拶なんかしなくていいって言ったけど、


未成年の紗絵を嫁さんにするんだからやっぱりあいさつはしておかないとって思って。


初めて、紗絵の家に行った。


そして言ったんだ、お決まりのセリフを。



「お嬢さんを、僕にください!」



ってさ。


親父さんの立場としては娘を嫁に出すなんて、涙もんのはずじゃん?普通ならさ。


でも紗絵の親父さんはこう言った。



「やっと、厄介払いできてうれしい限りだな。とっとと、籍をいれてくれ」



って。


その言葉を聞いた紗絵が、膝の上で両手を握りしめている姿をみて


血が逆流しそうになった。