「じゃあ、行ってくる。」 コウくんが玄関へと歩みを進めた。 「あの・・。」 「ん?」 「今日、少し早く帰ってこれるかな・・?」 「分かった。じゃあ、行ってきます。」 「行ってらっしゃい。」 分かった。 その言葉に胸が高鳴った。 ただ、それだけのことなのに。 すごくうれしいと思った。 きっと、最後の結婚記念日。 我儘だってわかってるけど、今日は一緒に過ごして欲しかった。