「助けてもらっちゃってすいません・・・」
人ごみを抜けて、小さな公園にやってきた。
課長がハンカチを濡らして傷口を拭いてくれる。
「別に助けたつもりなんてねーよ。全部本当のことだ。お前、本当に好きなだけだろオシャレが。お前さ、軽い奴だと思われがちだけど本当はすごく真面目な奴じゃん。知ってたよ、化粧の勉強とか、ファッションの勉強とか、仕事の合間にしてたの」
「え?」
「何かに一生懸命なのって俺はすごく良いことだと思う。そういう奴だからこそ、俺だって安心してデカい案件任せられるんだ。何か好きなことがあって、そのために勉強できる奴は仕事だって一生懸命やってくれる。それに、お前は目に見える成果をみせてくれるしな?」
「課長・・」
「男がここまでキレイになるなんて誰も思わない。ここまで努力したお前は、すごいよ」
課長の言葉に熱いものがこみ上げる。
ああ、今やっとわかった。
俺は周りからどう思われようが良かったんだ。
俺の努力を、認めてくれる人がいる。
俺が今までしてきたことを、認めてくれる人が。
それが純粋に嬉しい。
認めてほしかったんだ、俺は。
こうして褒めてほしかったんだ。


