「紗絵、大丈夫か?」
洗面所でうずくまっている紗絵。
「ん、ちょっと・・ムカムカして。すぐ収まると思うから」
「胃が変なのか?そいえば昨日も夕飯食べれてなかったよな?」
そういや一昨日も夕飯のとき匂いでダウンしてたような。
あ、でもクッキーとかは食べてたよな。
んんー?
まさか、な。
いやいや!可能性はなくもないよな!
「紗絵?最近、さ・・その・・きたのか?」
「来た・・って?なにが・・・あっ!!」
紗絵が顔をバッと上げて俺を見上げた。
目を大きく見開いて
「きて、ない!きてないよコウくん!!」
「マジか!!マジか!!」
思わず紗絵を抱きしめた。
「で、でも・・念のために調べてきてもいい?」
「お、おう!行って来い」
紗絵は細長い箱を持ってトイレへと消えていった。
俺、今ドキドキしちゃってるよ。まじで。
千愛のときは紗絵が倒れて運ばれた病院で紗絵の妊娠が発覚したから、このドキドキ感とワクワク感は初めての経験。


