私を引き寄せたその人は



「しょ、うへいくん?」



顔をみなくたって、分かる。


声だけで、分かるよ。


私がずっと会いたいと思っていた人だもん。



「ゆりあ先輩だけは、ダメッス!ゆりあ先輩の中身をみてくれない人には渡せないッスよ」



翔平くんが今井先輩をまっすぐ見つめて、そう言い放った。


なんで?


翔平くん、私ともう会いたくないんじゃなかったの・・・。



「でも、彼女が好きなのは僕だよ?」



自信満々な今井先輩。


きっと、ふられたことないんだろうな。


その王子様のような容姿はが見かけ倒しだってことに、みんな気づいてない。


だけど、私は知ってるの。


本当にカッコイイ人を。



「ごめんない。今井先輩、私・・・翔平くんが好きなんです!!」

「ってことみたいなんで、諦めてください。今井先輩」



翔平くんが私の頭にキスを落とした。


ポカーンとする今井先輩。



「それじゃ」



翔平くんはそう言って私の目をみた


ふふっ、分かったよ。



「「おさらばっ!」」



翔平くんと手を握り合って、走り出す。


今井先輩のせいでギャラリーがたくさんいたから、その中をすり抜けて校舎と反対方向に走った。