「私ね!翔平くんに伝えたいことがあって・・!あれ、翔平くん頬っぺた怪我してる?」
意を決して翔平くんの顔をみれば、翔平くんの頬に引っ掻き傷みたいなのがあった。
「伝えたいことって・・?」
「あのね、私ね・・」
「よかったじゃん!!うまくいったでしょ?だってゆりあ先輩モデルよりもキレイだし!これで俺もお役ごめんってやつでしょ?はは・・じゃ、もう俺はゆりあ先輩の前には現れないから。うまくやってね」
翔平くんのことが好きなの。
そう言いたかったんだよ、本当は。
だけど、被せてきた翔平くんの言葉が胸にどんどん突き刺さる。
翔平くんは私と目を合わせないまま、階段を上がっていってしまった。
私、告白するまえに振られちゃたよ・・。
「しょ、へい・・くん・・」
待ってって言えばよかったのかな。
今からでも追いかければいいのかな。
だけど、一度も目を合わせずに私の前に現れないって言ったのは翔平くんなりの拒絶に感じて。
もう、ダメだ。
「ゆりあちゃん?大丈夫・・・?」
桃さんのところに戻った私は、涙を必死に抑え込もうとしていて・・きっとみっともない顔をしてる。
「ダメ、でした。あはは!また、調子のっちゃった・・。あの、これ!翔平くんに渡してください」
「これって、バンソコウ?」
「翔平くんケガしてたみたいで・・。じゃあ、私!帰りますね!桜さんによろしく言っといてください!おさらばです!」
いつまでも翔平くんの家にいるのは気が引けて仕方がないから。
お世話になった桃さんにあいさつだけして、また走って家まで帰った。


