「ゆりあちゃんでしょ~?私は桃。翔ちゃんから少し話きいたことあるよ。おいで?髪可愛く直してあげるから!」
桃さんは翔平くんと同じ、優しい笑顔を持っていて。
おいで?
って言葉は翔平くんがよく言ってくれる言葉で。
胸の奥が少し疼いた。
「ありがとうございます」
桃さんが私の髪を優しくとかしてくれる。
「あのね、翔ちゃんには初恋の女の子がいるの。これは家族でも私しか知らないことだから内緒だよ?」
顔は見えていないのに、桃さんの声色で優しく微笑んでくれたのが分かった。
「翔ちゃんって結構一途でね、小学生の頃からその女の子が好きなんだって!翔ちゃんてカッコイイ系ではないんだけど、結構モテるんだよ?それなのに、初恋の女の子が忘れられないから彼女作ったことなんて今までないの」
桃さんの話に胸が痛んでしまう私は、やっぱり翔平くんのことが好きなんだ。
その初恋の女の子以上に、私のこと好きになってもらうことなんて出来るのかな。
「初めてなの、翔ちゃんが家に女の子を連れてきたのは。だからおねーちゃんとしては少し嬉しいんだ。翔ちゃんって三姉妹の弟だから本当に優しい子なんだけど、恋愛に関しては全然ダメで。いつかちゃんとその初恋の女の子よりも大切な人に巡り合える日がくるのか心配してたの」
桃さんの言葉に、一つ見出すことが出来そうな可能性。
ねえ、翔平くん。
私、他の子よりも翔平くんに近づくことが出来てたのかなぁ?


