「あら、どうしたの!?そんなボロボロの格好して・・・」
ヒールを脱いで走っても翔平くんには追いつくことが出来なかった。
結局、たどり着いたのは翔平くんのお家だった。
連絡先も交換してなかったから、私が分かるのは翔平くんのお家だけだった。
知らないの、なんにも。
休みの日に何してるのかとか、どんな音楽が好きなのか・・・。
私、そういうことなんにも知らない。
それでも、会いたいよ。翔平くん。
「あの、翔平くんいますか!?」
玄関を開けてくれたのは、翔平くんのお姉さん。
「翔平?あら、そのドレス・・・。翔平は今いないけど、良かったら上がって行ってちょうだい。そのままじゃまずいでしょうしね?」
妖艶な笑みを漏らすお姉さんに圧倒されてしまって、私はお家にお邪魔した。
「突然すいません、お姉さん・・・」
「ふふ、大丈夫よ。私は桜っていうの。以後、よろしくね?」
桜さん・・・。
以後なんて、あるのかな。
「そんな悲しそうな顔しないの。替えの服を用意してくるから待っててね?桃~!!あなた、この子の髪整えてあげて」
桜さんがどこかへと行ってしまって
「は~い?ってあれ!?大丈夫?あれあれ・・・。そのヘアアレンジは~。そっかそっか!なるほど~」
入れ替わりでやってきたのはほわほわ~とした雰囲気の優しそうなお姉さんだった。


