6年目の愛してる





「あら、どうしたの!?そんなボロボロの格好して・・・」




ヒールを脱いで走っても翔平くんには追いつくことが出来なかった。


結局、たどり着いたのは翔平くんのお家だった。


連絡先も交換してなかったから、私が分かるのは翔平くんのお家だけだった。


知らないの、なんにも。


休みの日に何してるのかとか、どんな音楽が好きなのか・・・。


私、そういうことなんにも知らない。


それでも、会いたいよ。翔平くん。




「あの、翔平くんいますか!?」



玄関を開けてくれたのは、翔平くんのお姉さん。



「翔平?あら、そのドレス・・・。翔平は今いないけど、良かったら上がって行ってちょうだい。そのままじゃまずいでしょうしね?」



妖艶な笑みを漏らすお姉さんに圧倒されてしまって、私はお家にお邪魔した。



「突然すいません、お姉さん・・・」

「ふふ、大丈夫よ。私は桜っていうの。以後、よろしくね?」



桜さん・・・。


以後なんて、あるのかな。



「そんな悲しそうな顔しないの。替えの服を用意してくるから待っててね?桃~!!あなた、この子の髪整えてあげて」



桜さんがどこかへと行ってしまって



「は~い?ってあれ!?大丈夫?あれあれ・・・。そのヘアアレンジは~。そっかそっか!なるほど~」



入れ替わりでやってきたのはほわほわ~とした雰囲気の優しそうなお姉さんだった。