6年目の愛してる



跳ねる心臓を出来るだけ抑えてヘアメイクを施した。



「はい、完成!鏡見てよゆりあ先輩」


「う、そ・・。これ、私?」



鏡の前に立つゆりあ先輩は、自分の顔に自分で触れて本当に自分なのか確認してる。




「フワフワの可愛い感じではないけど、女らしい女に見えるよ。そこらへんのモデルよりも、断然キレイ」

「すっごいね!!翔平くん!すごいすごいすごい!翔平くんって魔法使いみたいだね」



俺の手を握って、大興奮のゆりあ先輩。



「私でもこんな風になれちゃうなんて!翔平くん、ありがとう!これで・・少しは女の子らしいって思ってもらえるのかな?」



ズキン


痛む、心。


そうじゃん。こんなにキレイな姿は今井先輩のためだ。


今井先輩に、振り向いてもらいたくてこんなことしてるんだもんな。


俺から言ったことなのに。


今井先輩じゃなくて、俺をみてよって思ってる。


こんなこと、ゆりあ先輩に言ったらダメだ。


応援してあげなきゃ。




「明日・・今井先輩に会いに行こう。先輩がよく遊んでる場所に連れてってあげるから」




応援、するんだ。


ちゃんと。