跳ねる心臓を出来るだけ抑えてヘアメイクを施した。
「はい、完成!鏡見てよゆりあ先輩」
「う、そ・・。これ、私?」
鏡の前に立つゆりあ先輩は、自分の顔に自分で触れて本当に自分なのか確認してる。
「フワフワの可愛い感じではないけど、女らしい女に見えるよ。そこらへんのモデルよりも、断然キレイ」
「すっごいね!!翔平くん!すごいすごいすごい!翔平くんって魔法使いみたいだね」
俺の手を握って、大興奮のゆりあ先輩。
「私でもこんな風になれちゃうなんて!翔平くん、ありがとう!これで・・少しは女の子らしいって思ってもらえるのかな?」
ズキン
痛む、心。
そうじゃん。こんなにキレイな姿は今井先輩のためだ。
今井先輩に、振り向いてもらいたくてこんなことしてるんだもんな。
俺から言ったことなのに。
今井先輩じゃなくて、俺をみてよって思ってる。
こんなこと、ゆりあ先輩に言ったらダメだ。
応援してあげなきゃ。
「明日・・今井先輩に会いに行こう。先輩がよく遊んでる場所に連れてってあげるから」
応援、するんだ。
ちゃんと。


