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目の前に現れる、たくさんのシャボン玉。
中に映し出されているのは、何だろう?
暗い闇の中に浮いている、シャボン玉の一つに近づいてみえてきたもの・・・
『お嬢さんを、僕にください!』
これは・・私の両親にあいさつに来てくれたときのコウくんだ。
両親は私のことどうでもいいって思ってるはずだから、挨拶なんてしなくていいって言ったのに。
コウくんは、両親に頭を下げてくれた。
私のことを大切にしてくれてるんだって感じて嬉しかったなぁ。
『紗絵の家族は、俺です』
コウくんが、家族になってくれるって言ったから・・・私は家族という存在がやっとあたたかいものだって分かったの。
『紗絵、クリームほっぺについてんぞ?』
ニシシと笑うデート中のコウくん。
『俺がじいちゃんになってもキスしてくれる?』
結婚式の、誓いのキスの前のコウくん。
『紗絵、愛してるよ。世界で一番』
いつだったかコウくんが言ってくれた、愛してる。
コウくん、私も・・世界で一番愛してるよ?
やだ、涙が溢れてきちゃう。
こんなに、あったかい記憶が・・・私にはあるじゃない。
コウくんのそばにいれば、きっといつかこの記憶みたいに愛してるって言ってもらえるはずだよね?
・・・愛してるって伝えられる日がくるよね?
コウくん、コウくん・・・・。


