土足のまま、紗絵を連れて家に上がった。
そして机に叩きつける。
「手切れ金の300万です。今後一切、紗絵に関わらないでいただきたい」
「コウくんッ!!!ダメだよっそんなの」
「こっちは中学までの紗絵の養育費の500万です。高校からは沙絵が自分で払ってるんだから問題ないですよね?足りないなら言ってくださって結構です」
捲し立てるように話す俺に紗絵の両親が呆然と俺をみつめる。
「今すぐ、婚姻届けにサインしてくださればこのお金は差し上げます」
そう言えば、すぐに紗絵の両親はサインをした。
当然の結果だけど。
「紗絵の家族は、俺です。もうここへは紗絵を帰しません。紗絵、何か言っておきたいこと、ある?」
ずっと俺の服の裾を持っていた紗絵の手を握り、引き寄せて腰を抱いた。
「わ、たし・・・。ずっと、この家に生まれたこと恨んできた・・。お母さんのこといくら呼んでも、応えてくれないし。お父さんは、いつも私のこと殴ったり、蹴ったり・・こんな家、大嫌いだって思ってた。でも、でもね?二人が、私をこの世に生んでくれたから、コウくんと出会えた。もう二度と、会いたいなんて思わないけど・・。生んでくれてありがとう。私、これからはコウくんと生きていくね?さようなら」


