噂によれば、高木は女嫌いらしい。
それでオーケーしてくれたのか。
「お前…金井、何で俺と付き合うんだ?」
「男避け。」
「ふぅん…。俺も。」
「え…?」
「女避け。」
「やっぱり…。あんたが女嫌いなのは、噂で聞いたコトある。」
「お前…」
「…? 何?」
「"あんた"じゃなくて、名前で呼べよ。」
「高木…」
「そっちじゃなくて!」
え!?
男の下の名前を呼ばなきゃいけないの!?
「…そ…そそそそそ……そ…ぅ…」
「ははっなんだそれっ!?」
ドキンッ……
高木…じゃなくて、想が、ニカッと笑った顔は、太陽みたいに眩しかった。
あたしはなんだか恥ずかしくなって、
「あん…想は、あたしの下の名前呼ばないの?」
と言ったら、
「…莉亜」
と、さらっと言った。
「えぇ!?」
「え!?俺なんか間違った?」
「ち、ちが…」
「じゃあ何?」
「や、なんか…女嫌いなのに、よくそんなさらっと名前言えるな〜って」
「え?さらっと言ってた?」
「言ってた」
「え〜…俺、これでも緊張してたんだけど…」
「そうなの?!」
「そう。」
その時、
キーンコーンカーコーン
と、鐘が鳴った。
「そ…想、もう帰る時間だよ?」
その時!


