「莉亜…」
不意に、後ろから声がした。
「涼太!」
鈴風 涼太(ススカゼリョウタ)
同じクラスで、結構仲が良い男友達。
好きじゃないよ?
女友達は作らない。
男友達としての関係の方が楽だから。
「想とはどうだ?」
「1週間前から口聞いてない。」
「莉亜…そんなに壁作ることないんじゃないか?」
「…涼太……」
涼太は中2のあの時のコト知ってる。
でも……
「あたし……想なんか好きじゃない…」
言いながら、声が震えるのがわかる。
「嘘だ」
涼太がきっぱりと言う。
「好き…じゃ、ないよ?」
「じゃあなんで泣いてんだよ」
あたしの眼からは、大粒の涙がこぼれていた……。
好き……。
本当は、想が好き……。
でも……
好きになっちゃダメ…。
もう恋なんてしない。
そう決めたのに……。
その気持ちが緩んでる…。
「泣くほど好きなら伝えればいい」
「……ダメ!!」
伝えちゃ、ダメ!!
失うのはやだ。
この気持ちは、大切に締まっておくから……。
失うのだけは……。


