「なるほど」

 ベリルは納得し軽く手を挙げて立ち去ろうとしたが、その腕を掴んで引き寄せると抱きしめた。

「!!?」

 驚いて当惑しているベリルの唇を奪う。

「なんの真似だ」

 スネを蹴り悶絶している男を睨み付けながら口元をグイと袖で乱暴に拭った。

「だって……運命の出会いだと思ったから」

「無い」

 キッパリと断言したベリルに男はしょんぼりと肩を落とす。

「取り急ぎ去れ、でなければ本当に撃つぞ」

「無茶はしないでね」

「……」

 抱きしめられ眉間のしわを深く刻んだが、とりあえず離してもらえるまで黙っている事にした。