交点の烈~沈黙するケイタイ~

「はぁ~……」

 ベリルは男と離れたあと、壁に手を突いて深い溜息を吐き出した。

 ミコといい、あの男といいなんなのだ……今更、自分の容姿に自覚が無い訳ではないが、同性に好意を寄せられる意味は理解出来ん。

 自分自身に蚊ほどの興味もないベリルは、容姿について仲間から言われ続けてようやく自覚というか認めたというかで、少しくらいは考えるようにはなっていた。

 そのせいなのか、センスは悪くないがいつも似たような格好になる。

 彼が考えるのは、違和感が無いかどうかと武器を隠せるかどうかの点だけなのだ。

 彼の無頓着さを知っている仲間たちから時折、衣服を送りつけられる事もある。

 それはさておき、ベリルは気を取り直して歩き始めた。

 まだ朝という事もあり、工場は稼働して間もないようだ。