交点の烈~沈黙するケイタイ~

「うっ!?」

「遅い」

 ベリルは言うが早いか、部屋の外で監視していた男が驚いて向けたライフルにひるむ事なく駆け寄り、持っていたライフルに手をかけた。

「!? ぐ……ぇ……」

 そのまま腹に膝蹴りを食らわせ、崩れ落ちる男を冷ややかに見つめる。

「うそ……」

 男は呆然とベリルを見つめていたが、確認したように小さく溜息を吐いてライフルを奪いこちらに戻ってくる姿にビクリと体を強ばらせた。

「騙してすまなかったな」

 しゃがみ込んだまま動けない男に小さく笑みを浮かべる。

「きっ、君は……」

「私は傭兵でね」

 なるほど、手に持っているライフルがなんともしっくりときている。

 まだ視界の定まらない男にベリルは左手の人差し指を立てた。