交点の烈~沈黙するケイタイ~

「……一体どうするつもりなんだ?」

「打ったのは覚醒剤だ」

 説明する生田の顔は嬉しそうに口の端を吊り上げた。

「飼い慣らすつもりなのか」と柳田。

「それが一番、効率がいいだろ」

 クローンなんて時間と金のかかるものは必要無い。

「奴を飼い慣らし、暗殺者にして変態の金持ちにでも抱かせるさ」

 平然ととんでもない事を言い放つ。

「そんなに上手くいくのか?」

 柳田の質問に生田はまた鼻を鳴らした。

「フン……いくら奴が不死だと言っても、精神まではどうにもならんだろう」

 覚醒剤の再犯率は高い。

「薬物依存は当然だが、精神依存のために再犯するんだ」

 生田はベリルの口元が緩むのを確認して笑みを浮かべた。

「よし、効いてるようだな。あと2~3度打てばいけるだろう」

 生田と柳田はその場をあとにした。