交点の烈~沈黙するケイタイ~

「動こうとは思うな」

「これだけライフルを向けられては動けんよ」

 言い持って上半身を起き上げると、生田は右手を軽く挙げて合図する。

 入り口から、注射器を持った男が入ってきた。

 30代だと思われる男は、無言でベリルの左腕の袖をまくった。

 少しの痛みに苦い表情を浮かべる。

 その整った中性的な顔立ちに、つい見惚れてしまう。

「早くしろ」

「終りました」

 言われてハッとし、立ち上がる際にベリルと目が合った。

「……」

 えもいわれぬ愁いを帯びた表情に少し目を泳がせ、その男は部屋から出る。

 それに続くように生田と柳田、そして銃口をベリルに向けながら他の男たちも続いて外に出た。

 ドアを閉め、2人はベリルの様子をガラス張りの壁の外から眺める。