交点の烈~沈黙するケイタイ~

 鉄の匂いと、重機を使用する独特の雰囲気が辺り一帯に漂っていた。

「随分と待たせるじゃないか」

 車から降りた柳田に男が腕を組み、待ちくたびれたように発する。

「……すまない」

 素直に謝罪した柳田に男は溜息を吐いて、後部座席のベリルに目を向けた。

「こっちだ」

 案内された場所は、作業場とは少し異なる造りの建物。

 階段に男たちの足音が響き、3階にたどり着くとガラス張りの部屋が柳田たちを迎えた。

 ガラス張りの部屋の中央にベリルを降ろし拘束を解くその周りには、ライフルを持った数人の作業服姿の男たちが銃口を向ける。

「どうせ目が覚めてるんだろベリル」

 男が鼻を鳴らして口を開いた。男の名前は生田(いくた) 敏夫(としお)。

 年齢は40代ほどと見受けられる。

 ベリルは目を開き男を薄笑いで見やった。