交点の烈~沈黙するケイタイ~

 しばらくして、男がタバコを取り出しライターで火を付けようとした。

「禁煙だ」

「あ、すいません……」

 柳田はバックミラー越しに睨みを利かせた。

 こちら側に誘った男だが、ベリルの価値を理解してない態度に半ば怒りを憶える。

 彼が不死だと話していないのだからそれも仕方がない。

 どうせ話した処で信じる訳もないだろう、無駄な会話はしたくない。

 ベリルは不死だけでなく、その戦闘センスでも利用価値はあるのだ。

 理解しない者に説明など労力を割く意味が無い。

 柳田は目的の場所まで黙って車を走らせた。

 数時間後──たどり着いた場所はどこかの工場のようだった。

 トタンで作られた無骨な丸屋根がいくつも隣接している。