「お前っ……もう、いいおっさんだろうが! 人に、す・が・り・つ・く・な!」

 こんなヤツ、弟子にもしたくない! ベリルは当惑して言葉が乱暴になる。

 すがりついてくるミコを必死に引きはがそうとするが、ミコも必死らしい。

 彼の力は見かけによらず、かなりの強さなのだがそれに負けないほどの力でしがみついてきた。

 さすがに少し息が荒くなってきた、いい加減にしろと嬉しそうに抱きついている男をギロリと睨み付ける。

「ならば! 自分の罪を悔やみ、罰を受けるが良い」

「あなたがそう言うなら従います」

 あら、意外とあっさり……? 下僕になりたいというのは本気らしい。

 それならそれで扱いやすいかもしれんなとベリルは少し考えた。

「私の事は口外してはならん」

「解りました。決して誰にも言いません」

 男はひざまづき、厳粛に受け止める。

「よろしい。では警察が来るまでに準備を済ませなさい」

 多少、時代がかった物言いに笑いそうになったがそれらしく振る舞った。

 てっきり「はい」と言うのかと思いきや……