交点の烈~沈黙するケイタイ~

「ベリル様!」

「誰がだ……」

 眉間にしわを寄せた。その男は高価な着物を着てそれらしい格好はしているが、顔立ちはどう見てもおっさんの域を出ない。

「祈りが通じたのだ! おおっ! なんと神々しい」

「誰が神々しいって……?」

 ベリルは呆れて顔を手で覆った。

「あ、あなたのために人類を一掃します。どうか私をあなたの下僕に!」

「一掃……?」

 その言葉に目を細め、ひざまずく男を冷たく見下ろした。

「誰がそんな事を望んだ」

「は……?」

「私はこの世に絶望もしていなければ人を憎んでもいない」

「そっ、そんな……」

 ベリルの怒りを含んだ声に、ミコはガクガクと体を震わせる。