交点の烈~沈黙するケイタイ~

「ふむ」

 片膝をつき、男が持ってきていた容器を眺める。

「うう……」

 小さく呻き声を上げる男を一瞥し、5本ほどの試験管に入った色の付いた液体をわずかな明かりで確認するように見やったあとコンクリートの床に全て流した。

「はあぁ~」

 たった5本……ベリルは呆れて長い溜息を吐き出した。

 よほどの致死量で無い限りこれだけの数では腹をこわす程度にもならん。

 水に入れれば増殖するとでも思っているのだろうか。

 単純に見える細菌だとて、環境が整わなければすぐに死んでしまうというのに……なんだか腹が立ってきた。