交点の烈~沈黙するケイタイ~

「くそっ……どうやったら入れられるんだよ」

 声と体格からして20代後半の青年のようだが、しゃがみ込み工具箱と太いパイプを交互に見ながら舌打ち混じりにぶつくさとつぶやいている。

「……」

 ああ、やはり馬鹿だ。そんな事は侵入する前に事前に調べておくものだろう。

 持っているウイルスも生きているのか疑わしい……とベリルは頭を抱えた。

 声をかけて騒がれるのも面倒だと、すぐ近くまで歩みを進める。

 5mほど近寄れたが、これ以上は無理そうだ。

 持っていた銃やナイフは柳田に奪われてしまっているし。面倒だな……思いながら素早く駆け寄った。

「えっ!?」

 駆け寄ったベリルに気が付いて体を向けた男の腹に膝蹴りをかます。

「ギャ!?」

 叫び声を上げて男はつっぷした。