交点の烈~沈黙するケイタイ~

「うわっ!? 何こいつ!?」

「通り魔!?」

 一斉に注目を浴び、警察に電話する者や交番に走っていく者が入り乱れる。

 大騒ぎになった周囲に、男は軽いパニックを起こして強ばったままだ。

「大人しくしろ」

「うう……」

 痛みで動けない男は、駆けつけた警官にあっさりと捕まってしまった。

「えっ!? お前なに持ってるんだ!」

 警官は、投げ飛ばされた衝撃で開きかけているジュラルミンケースを開いて声をあげ、男に手錠をかけた。

 ベリルは、すごすごと連行される男を人混みの中で見つめる。

 むやみに表の世界とは関わりたくない。

 自分の容姿が多少、目立つ事くらいは自覚していた。

 仲間からしきりに言われ続けて認めた、という方が正しい。