交点の烈~沈黙するケイタイ~

 JR新宿駅──東口に到着し釣り銭をチップ代わりにタクシーを降りる。

「ふむ……」

 知らない街ではないが、たった1人を捜すのは少々、広いなと溜息交じりに考えておもむろに歩き出す。

「!」

 アルタ前にさしかかり、ベリルはふと1人の男に目が留まった。

 あれは……? 男の持っている、幅70cm程度のジュラルミンケースに目を細める。

 彼女はおそらくサブマシンガンの事を言ったのだろう、ベリルはそう推測していた。

 マシンガンを隠して持ち込むのは少々、難しいからだ。

 1mを越える全長を、銃器に慣れていない者が扱うのは困難である。

 何せ『ミコさま』の信者だし……訓練を積んだ者とは思えない。

 あの大きさならばサブマシンガンが入る。