交点の烈~沈黙するケイタイ~

 慎重に足を進め柳田の視界から外れた頃、道路脇に立ってタクシーを探した。

 丁度タクシーが通りがかり、開いたドアに滑り込む。

「新宿にやってくれ」

「駅でいいですか?」

 それに応えてタクシーは動き出す。

[ひとまず新宿に向かう]

 落ち着くとメールを送信した。

[行動早!]

 相手も割と呑気な返しを……このせいで緊張感が無いのかもしれないと薄笑いを浮かべた。

「西口とか東口とか、指定はあります?」

「とりあえず東口」

 違和感のまるで無い日本語で応える。

 それに加えて、土地勘のある物言いにタクシーの運転手は少し安心したような表情を浮かべた。