交点の烈~沈黙するケイタイ~

 周りには街灯が無いため、道路の灯りだけが頼りだ。

 この時間に人を大量に殺害できる場所……殺害自体が目的ではないのかもしれない。

 注意を向けるだけが目的なら、人の多い場所という事になる。

「渋谷か、新宿……?」

 視線を宙に留め思案する。

「よし、新宿」

 適当に決めて歩みを進めた。

 ここで考えていても仕方がない、ひとまず行き先を決める。

 そしてふと気付いた。

 メールの内容が若干、以前と異なるように感じた。

 そういえば弟の件もあったなと思い出す。

「ナユタは1人ではないのか」

[1人ではないのか?]

[弟と一緒]

 返事はすぐに返ってきた。

 微笑んで安堵する、2人一緒にいるのなら安心だ。