交点の烈~沈黙するケイタイ~

「まさに奇跡? 教祖をおだてるためにあんたの画像やらデータやらを見せてその気にさせたが、もういい加減に見限りましたよ。奴にはね」

「……っ」

 ベリルは眠気にふらつく、そろそろ限界だ。

「それ、そんなに強い麻酔薬じゃないけど効き目は早いですよね。治癒能力が高いという事は効き目も早い」

 おやすみなさい……そんな声を聞きながら、ベリルは目を閉じた。

 柳田は、倒れ込んできたベリルを受け止めて愛しそうに頭をなでる。

 大量殺戮よりも良い手みやげだ。柳田の顔は喜びでニヤつきが止まらない。

 抱きかかえて建物から出て自分の車に向かった。