交点の烈~沈黙するケイタイ~

 ベリルに照準を合わせ、ゆっくりと引鉄(ひきがね)を引く。

「……っ」

 至近距離からの麻酔銃に、ベリルは少し苦い顔をした。

 左肩に突き刺さった注射針を見つめる。

「そのまま抜くなよ」

 薄笑いを浮かべながら近づき、縛られている男に目を向ける。

 男は「早くワクチンを打ってくれ!」と柳田に懇願するような目を向けた。

 それを見た柳田の手には……

「! よせっ」

 ベリルが止める声も聞かず、消音器(サイレンサー)付きのハンドガンで男の胸を撃ち抜いた。

「宿主が死ねば菌も死ぬ」

「ふざけるな」

 苦々しく見つめるベリルに、柳田はニヤけた顔を続けて膝を折る。