しばらく歩いたとき、携帯が震えた。

 彼は基本的、常にマナーモードだ。

[その名前本名?]

「?」

[本名だが、それがどうした]

  変な事を訊くと思ったが、素直に返すとメールはすぐに返ってきた。

[フルネームは?]

「??」

 おかしな事を訊く子だ。

[ベリル・レジデントだ]

 自分の名前を打つのは妙な感覚である。

 疑問に思いながらも送信ボタンをタップした。

 それからしばらくメールは無かったが、どうして名前を聞いたのか解らない。