交点の烈~沈黙するケイタイ~

「行ってみるか」

 ここで考えても仕方がない、ベリルは暗くなった道を駅からさらに遠ざかっていった。

 進むにつれて街灯が数を減らし、猫の鳴き声が夜に神妙な雰囲気を添える。

「うーむ……」

 おもむろに立ち止まり少し思案した。

 夜の闇にまぎれて行動するのは慣れているが、どうもこれでは物足りない。

 相手がやけにシロウト丸出しで折角、日本くんだりまで足を運んだというのにこれでは……

 助けを求めてきた相手を真剣に助けるつもりではいるが、それ以外では楽しみたいものだ。

 ベリルの悪い癖が顔を出す──彼は、相手を翻弄し困らせる事を楽しむという悪いクセがあった。

 それで何度、彼に泣かされた仲間がいる事やら……である。