交点の烈~沈黙するケイタイ~

 では、弟は別の問題で行方不明だとしたら……?

「そちらの方がまだ違和感が無い」

 ベリルは考えあぐねていた。

 日本に来た事は彼女にメールで伝えたが、その後の返信が無い。

 メールを打てる状況には無いのだろう。

「ふむ……」

 手駒が少なすぎる……小さく唸った。

 これではヘタに動けん。監視している男を捕まえられればよいのだが、こちらをかなり警戒しているようだ。

 これでは近づく事すらままならない。

 考えていると仲間を呼ぶつもりなのだろうか、男が携帯を手にしていた。

 このままではこちらが気付いた事に気付かれる。

 ベリルは駅の方に少しずつ歩みを進めた。