「2人の写真はありますか?」

「え?」

「警察も動いているでしょうけど私なりにも探してみようかと」

 少し怪訝な表情を浮かべる母親に、ベリルは安心させるように発した。

「持ってきます」

 母親は納得してすぐに写真を探しに階段を上り、パタパタと小走りに部屋を渡っている足音が聞こえてくる。

「これでいいかしら」

 戻ってきた母親は2枚の写真を手渡した。その時に地味に指に触れて嬉しそうに口の端を若干、吊り上げたがベリルはやはり気がつかない。

「ありがとうございます」

「それではお体には気をつけて」

 普段、丁寧な言葉を使わないベリルは疲れていた。早くこの場を去りたい。

「お願いします」

 すがるような目でベリルを見つめた。